いつかの桜

~メイプルストーリーに関する日記と ギルド「甘栗」の活動日誌です~

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第6話 チャーリー軍曹

ログハウスから景色が変わった先は、空だった。
空としか言いようが無い場所だった。

石畳の床が敷いてあり、一見重厚な足場に思えるが、
周りを見渡すと地上とは明らかに違う目線である。
本来真上に見上げるべき雲が、空が、
自分の目線と同一線上にある。

もうちょっと見渡すと、かなり高い位置に浮いている足場や、
不思議な形をした建物が並んでいるのが分かる。
通りを歩いている女性の背中には小さな翼が生えており、
足元も地面には着いておらず、若干浮いているのがはっきり見える。
妖精がいる、と説明すれば納得して頂けると思う。
最も、自分が今の状況に納得していないのだが。

「ここは・・・?」

「ここはオルビスって言ってな。空に浮いてる町なんだ」

なるほど、昔テレビで見たアニメと似たような設定なんだな。
少女と少年が空に浮かぶ都市に辿り着いて冒険をする話。
今の状況がそれと似てる。
一瞬でワープしてきたので、苦労は全くしてないけどね。

「んー、チャーリーってどこいたっけなぁ」

ぶつぶつ言いながらルネが迷いも無く道を歩いていく。
ついていかないと、迷子どころの話じゃなくなる。
空から地上へ戻る手段なんて、今の俺には飛び降りるくらいしかない。
ルネはどうやって帰るつもりなんだろう。

「いたいた。チャーリー久しぶりだなー」

ルネがチャーリーと呼びかけた人は軍服を来ていた。
いかにも固そうなヘルメットを被り、服にはパラシュートを背負う為の
ひもが幾重にも巻きつけられている。

「貴様ー!チャーリー軍曹だとあれほど言っておるだろう!」

仲はあまりよろしくないらしい。

「固いことは抜きにして、いつもの交換頼むよ」

「また持ってきたのか。任務の協力感謝する」

ここでルネがこちらへ来いという手招きをしてきた。
二人に近づいていくと、どこから取り出したのかトゲのついた首輪が
ごっそり入った袋があり、それを手渡された。

「おまえからチャーリーに首輪を渡してみ?」

わけも分からずチャーリー軍曹に首輪を渡していくと、
唐突に自分自身が光に包まれた。

「なんだこれ!?」

慌てる姿をルネはバカにしたように笑っている。
ひとしきり笑い終えた後に説明をさせると、

「レベルアップしたんだよ。おまえのレベルが1から2にな。

 あー、それにしても超受けるわ。レベルアップしてあんな驚いたやつ始めて見た」

「いきなり自分の体が光ったら驚くだろ」

「まー、続けて首輪渡していけばすぐにレベル10になるから・・・

 と、言うの忘れてたけど、職業の説明しないとな。

 戦士・魔法使い・弓使い・盗賊・海賊って5種類の職業があってな、

 このいずれかにならないと強くなれないわけなんだけど、

 おまえはどれになりたい?」

いきなり言われても困る。

「とりあえずその職業ってのがそれぞれどんなのか教えてくれよ」

「んーと、戦士は体力があって攻撃力もあるけど、遅いし不器用。

 魔法使いは体力無いけど、遠くの敵を魔法で倒せる。

 弓使いはかなり遠くまで矢で攻撃できて器用だけど、体力はひ弱。

 盗賊は素早い動きと連続攻撃が得意だけど、やっぱ体力は無い。

 海賊は・・・まぁまぁ体力あって攻撃も多彩だけど、癖が強いな」

やっぱりそれぞれ特徴が違うみたいだけど、今すぐには決められそうもない。

「職選びはフィーリングだと思うぞ。

 どれを選んだにしても一長一短があるからな」

「少し考えさせてくれ」

ルネから渡された首輪をチャーリー軍曹に渡すだけで
なぜかレベルが上がっていく。
茶筒さんが言っていたレベル上げって、
このことだったんだろうか。
順調にレベル上げをしていると
ルネが小さな声でこっそり言った。

「本当はな、このレベル上げって茶筒の言ってた普通のやり方じゃないんだ。

 チャーリーでレベル上げたとか茶筒に内緒な」

普通のやり方じゃないらしかった。
それでもレベルを上げていく内に8まで上がった。

「魔法使いはレベル8で転職するわけだが、

 ヒロはどうする?魔法使いならいったんビクトリアに戻るし、

 他の職ならもう少しチャーリーの世話になるぞ」

「そうだな。魔法使いって難しそうだし他のにする」

「ふーん…」

元々学生である俺がいきなり魔法使いになろうと思っても
何かと大変そうだ。
30歳くらいになると魔法使いになれるって与太話もあるが、
それはまた別の話である。

まもなくレベルは10になった。

「よーし、それじゃビクトリアに戻るか。

 ほい、いちご牛乳」

そう言うとルネはピンク色の牛乳を手渡してきた。

「飲めばいいのか?」

「そうそう。これできのこ神社まですぐ飛べるぜ」

いちご牛乳を飲むことと、飛ぶということが今いち繋がらないが、
ルネが迷わずいちご牛乳を飲むなり姿が消えた。
さっきは石みたいなのを使ってここまで来たが、
戻るにはいちご牛乳を飲むらしい。
この世界のデタラメな移動方法にうんざりしながらも
仕方なくいちご牛乳を口にした。


第7話に続く

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第5話 ギルド

目が覚めるとベッドで横になっていた。
もしかして、今までの全部夢だったとか?
という事は全くなかったのだけど。

「起きたか?いや~、わりぃわりぃ」

声のする方を見ると、
ひらひらのついた、黒と白を基調としたドレスを着た女が座っていた。
いわゆる、ゴスロリの服である。
金髪で青い眼をしており、病的なまでの白い肌だった。
西洋人形が椅子に座っているようだ、
と言えば適当な表現かもしれない。
片目に包帯を巻いているのも案外ファッションの一部な気がする。

「ここはどこなんだ?」

「あぁ、ここはうちのギルドが借りてるログハウスでな。

 ヘネシスからそう遠くない場所だぜ」

西洋人形みたいな整った顔立ちからは想像しにくいが、
喋り方はなかなか大雑把なものだった。

「ちょっと何が起こったのか分からないんだけど…」

「それがな~、説明するとな…

 俺がリス港をフラッシュジャンプで移動してたらおまえにぶつかっちゃってさ。

 5mくらい吹っ飛んだと思ったら気絶してるし、

 とりあえずここに運んで寝ててもらったわけなんだよ。

 すまなかったなぁ」

「フラッシュジャンプ?」

「盗賊の移動スキルさ。すげー速いスピードで動けるから便利だぜ」

うん、スキル?また分からない単語が一つ…
とにかく速く移動する手段ってことだな。

「しかしなぁ、通行人にぶち当たるなんて初めてだわ。

 メイポって他プレイヤーに危害を加えることなんてできないはずなんだけどな…」

両手を組んで考える素振りをする西洋人形は、
5秒後にはあっさりと、

「分かるわけねーな」

と言って一人でけらけらと笑っていたのであった。
西洋人形がひとしきり笑った後、
タイミングを計ったように、ログハウスに人が入ってきた。
白いタオルを頭に巻いている男は、
女を見るなり呆れた顔をした。

「ルネ、おまえまた問題を起こしたのか…」

「あっはっは、そうみてーだ」

西洋人形の名前はルネと言うらしい。
どことなくヨーロッパにいそうな名前である。
ルネと呼ばれている女を無視するように男が俺に話しかけてきた。

「すまなかったな。こいつは悪いやつじゃないんだが、

 どうにも問題を起こす才能があるらしくてな…

 後できつく説教しておくから、許してくれないか?

 ルネ、おまえもちゃんと謝れ!」

子供をしつけるように一喝する男は、まるで親のようだった。

「ごめんなー」

半ば投げやりな謝り方に男は何か言いたそうだったが、
言うのを諦めたらしい。

「気にしないで下さい。突っ立ってた俺が悪いので」

「すまないな。

 どうやら見た感じ初心者みたいだし、
 
 お詫びとしてルネにしばらくレベル上げを手伝わそうと思うんだが、

 どうだろう?」

思いがけない提案だが、ここは一つ聞かないといけないことがある。

「レベル上げって、何です?」

「おぉ、なかなか初々しい質問だな。

 レベル上げってのはだな、モンスターを倒して戦闘技術やスキルを磨く作業のことだ。

 レベルを上げないとできないことは沢山あるからな。

 ふむ…おい、ルネ!この子のレベル上げ手伝いながら知らないこと教えてやれ!」

「へーい…マスターは相変わらず人遣いが荒いぜ…」

口をとがらせながら、聞こえるか聞こえないかの小さい声でつぶやいていた。

「そうだ、遅れたが君の名前は?」

「ヒロって言います」

「ヒロ君か。ルネに、分からないことあったらまた遠慮なく聞いてくれ。

 俺からもヒロ君に友録送っておくから、ルネがふざけたことしたら言ってくれよ」

「すいません、友録って?」

「友録ってのは、友達登録の略でな。離れた人といつでも話ができる手段のことさ」

この世界には携帯電話がない代わりに、その友録で話をするってことか。
でも、ティエンクってやつは携帯電話みたいの持ってたような気がする。
まだまだ分からないことは多そうだ。

「ちょっと待ってな。実際に友録送ってみるから」

封筒を胸ポケットから取り出すと、男はペンでさらさらと俺の名前を書き始めた。
書き終えると封筒を頭上に放り投げ…
空中で一旦停止をすると、
俺の元に一直線に向かってきて目の前で止まった。
誰も触れてもいないのに、封筒は勝手に開き、メッセージが出てきた。
メッセージには、

「茶筒」様から友達登録の招待が来ています。承認しますか?

とある。

「茶筒…?」

「あっはっは、俺の名前だ。変わってるだろ?

 封筒に向かって、はい、って言うと手続きは完了だ」

封筒に向かってハイと答えると、封筒は景色の中に溶けるように消えていった。

「これで君といつでも会話できるってわけだ。

 どんな風に会話が聞こえるかは、離れた時のお楽しみだな。

 それじゃ申し訳ないけど、俺は行くわ。

 友から呼び出されててな。じゃぁな」

茶筒さんは手を振るとログハウスから出ていった。
残されたのはルネと呼ばれた女と俺。

「ヒロって言ったっけ?レベル上げも知らねーようじゃ、狩りもしてないんだろ?」

「したことないな」

「とりあえずレベルを上げて転職した方がいいな。

 っと、転職しようにも職業のことから説明しないといけないんだな…

 移動しながら説明するわ。はい、石」

いきなり光る石を渡された。
石には記号のような文字が彫ってある。

「とりあえずチャーリーのとこ行くか」

「チャーリー?」

「とりあえずついてくれば分かるぜ。」

そう言いながら、ルネは俺の肩に手をのせると、

「オルビス」

とだけ言った。
その瞬間、景色はログハウスから一瞬に別の場所へと変わった。




第6話に続く→




プロフィール

あすか

Author:あすか
杏サバ在住
Lv143 ナイトロード(メイン)
Lv127 ダークナイト
Lv173 ヒーロー
Lv 91 マスターシーフ
Lv106 ウインドシューター
画像はみり仔さん画伯のもの。
現在中の人は燃え尽き症候群。

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